「くすのきの木陰から」(第8号)炭水化物(院内報。隔月発行)
体重を増加させるのは脂肪?炭水化物?
体重の増加は、糖尿病、高血圧を始めとした生活習慣病の発症と強い関連があります。
これまで体重増加は、カロリーの摂りすぎが原因とされ、1gあたりのカロリーが他の栄養素の倍以上ある脂肪分が主犯とされてきました(1gあたり、脂肪9Cal,炭水化物4Cal, 蛋白4Cal)。しかし、最近の研究では、炭水化物を主犯とする結果が次々と出てきており、「炭水化物ダイエット」ブームとも言われる社会現象の引き金にもなりました。
代表的な研究は、2007年イスラエルで行われた、「地中海食」と「低脂肪食」、「低炭水化物食」を摂取した方達の体重減少の程度と心血管疾患の悪化につながる検査値の経過を2年間にわたって追跡した研究です。
この研究の結果、「低炭水化物食」による減量の効果が最大で、検査値も良好な結果を示し、その効果が認められることとなりました。理論的には、炭水化物の中に含まれる「糖質」の過剰な摂取が血糖値を上昇させ、その結果過剰に分泌されたがホルモン(インスリン)が脂肪を沈着させて体重を増加させます。
また、この食後の過剰な血糖値の上昇は、血管を傷つけ、心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります。「低炭水化物(低糖質)食」はこの過剰な血糖値の上昇を防止することで効果を発揮します。
更に、「炭水化物(糖質)制限」を行った時に、体の中でかわりに利用される脂肪分から作られる「ケトン体」が、様々な疾患を予防し、最近では、アルツハイマー病の発症防止にも効果があるという研究も出てきております。
ただし、その後の様々な研究から、極端な炭水化物(糖質)制限もまた寿命を縮めること、そして「炭水化物さえ摂らなければ、脂肪やタンパク質は摂り放題」という食事法も逆効果であることが示されました。
「飽和脂肪酸や加工肉の摂りすぎは避ける」、など脂肪や蛋白質の摂り方もまた大切であることが明らかになっております。
いずれにしろ、私達が親しんできた「真っ白いご飯」「真っ白いパン」「甘いお菓子やジュース」などの炭水化物(糖質)の摂りすぎには注意が必要のようです。
そしてもちろん、運動も大切です。他の方のいないところではマスクを外し、しっかり歩いてコロナも生活習慣病も撃退しましょう!
院長 廣部 芳晴
<おしらせ>
*現在、新たなオミクロン株が増加してきており、その感染力の強さが懸念されております。重症化率は低いようですが、これまでと同様、3密を避け、マスク、手洗い・うがいの励行でしっかり予防しましょう!
*発熱のある方は、受診前に連絡をお願いします。
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